【新潟県認証】農薬8割減・化学肥不使用栽培 南魚沼産コシヒカリ
【有機JAS認定】有機栽培 南魚沼産コシヒカリ
生産者 廣田一利氏

私は日本のトップブランド米「魚沼コシヒカリ」の中心産地である新潟県南魚沼市で有機米、減農薬米を主体に栽培しているコメ農家です。この地域は日本でも有数な豪雪地帯であり、山と川に恵まれた自然豊かなところです。ゆえにミネラル豊富な雪解け水、滋味豊かな土壌、澄んだ空気に富み、さらに魚沼地方特有の昼夜の寒暖差が大きい気候条件は、良食味、高品質なコメづくりのできる大きな基盤となっています。
あわせて農業者の高い栽培技術と情熱、意欲で他産地の追随を許さない「魚沼コシヒカリ」が生産されています。
今、時代は地球環境保全、循環型社会。また農産物に対しては健康、安全安心が強く求められ、これに関する法律、制度、政策の導入が行われてきました。これに伴い、産地、農業者もしっかりと対応する必要があります。この取り組みにより社会、消費者の信頼を得ることができ、自らの経営、産地の持続発展ができるものと考えています。私達生産者グループはこれらの考えに基づき、89年から特別栽培米制度により除草剤一回使用のみの減農薬無化学肥料栽培の取り組みを、また92年から無農薬無化学肥料栽培を、そして02年よりJAS法による有機栽培米の生産を始めました。
現在JA魚沼みなみ有機米部会として組織を統一し、会員数300名、栽培面積432haで特別栽培米、JAS有機米の生産活動をしています。栽培にあたっては農薬、肥料資材等の使用に大きな制限があるため、雑草対策、病害虫対策が最も重要になります。そのため条件の良い圃場の選定と、的確な栽培管理が求められます。特にJAS有機米は除草剤を一切使用しません。
現在除草対策としてはアイガモ、紙マルチ、機械除草等で行っていますが、いずれも完全な方法ではありません。最後は田んぼに入り人力で2〜3回草取りをする必要があり、大きな労力がかかります。したがって一農家の栽培面積にはおのずと限界があります。
特別栽培米は除草剤を一回のみ使用しますが、圃場条件、水管理等で手取り除草しなければならない場合があります。
また、病害虫の発生は食味、品質に大きな影響を及ぼします。農薬を使用しないため病害虫の発生防止という観点から、きめ細かい栽培管理が重要になってきます。健苗の育成、基肥の減肥、疎植栽培による過剰生育の抑制、適正な水管理、畔、圃場周辺の草刈の徹底により病害虫の未然発生防止に努めています。そしてこれらのコメを生産するには農林水産大臣の登録を受けた法人による認証を毎年得なければなりません。
生産者は継続的な記録管理、申請手続、書類審査、実施検査等膨大な書類を作成しなければならず、大きな労力と経費を負担する必要があります。これも面積拡大を阻む要因となっています。
環境保全型農業、有機農業を推進して行くためにも制度改善と生産振興政策の充実、そして何より消費者の理解と協力が必要と思います。
日本農業を取り巻く情勢は大きく変化しています。土地利用型であるコメ農業の持続のためには時代を見据え、社会、消費者、地域の理解と信頼を得ることが必要不可欠と考えます。そのために一生産者として様々な活動をして行きたいと思っています。
人と自然にやさしい農業をめざして・・・