今からちょうど100年ほど前に、杉並区荻窪で開催されていた「大田黒サロン」は、日本クラシック史に残る画期的な出来事だった。日本の音楽評論の草分け、大田黒元雄は、当時の日本人にとってまだまだ知られざる存在であったラヴェルやドビュッシーの音楽を紹介するために尽力し、サロンのスタインウエイで披露するという活動を行っていた。その記念すべき第1回サロン公演が行われたのが1915年12月18日だったのだ。その100年目にあたる2015年12月18日に、高橋悠治&青柳いづみこの演奏で当時をしのぶことの意義はまさに格別。日本の音楽史を紐解く特別な時間になりそうだ。今蘇る大田黒元雄の世界。今もサロンの様子が偲べる「大田黒公園」の散策と共に是非体験してほしいイベントだ。
■演奏予定曲
スクリャービン 前奏曲作品33
2つの小品作品57 欲望/舞い踊る愛撫
レビコフ 組曲『夢』より
ナイアッド/悪魔の楽しみ/牧神
ゴダール 牧神
ラフマニノフ 前奏曲作品3−2(以上、青柳いづみこ演奏)
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フローラン・シュミット 『夜』より エグローグ/波の上
ルネ・バトン 『ブルターニュより』より 聖ナゼルの大噴水
プロコフィエフ 『束の間の幻影』(以上、高橋悠治演奏)
ドビュッシー 『小組曲』(連弾)
高橋悠治&青柳いづみこ レクチャーコンサート【チラシ】を印刷できます。
■高橋悠治 プロフィール
1960年草月アートセンターで活動。
1974-76年季刊誌「トランソニック」で活動。
1978-85年「水牛楽団」「月刊・水牛通信」で活動。
以来は作曲・演奏・即興で少数の協力者と活動を続ける。
2015年4月には新作連句による小オーケストラ曲が初演された。
著書:「高橋悠治/コレクション1970年 代」(平凡社)「音の静寂静寂の音」(平凡社)「きっかけの音楽」「カフカノート」(みすず書房)
■青柳いづみこ プロフィール
安川加壽子、ピエール・バルビゼの各氏に師事。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業。 東京芸術大学大学院博士課程修了。リサイタル『残酷なやさしさ』により平成2年度文化庁芸術祭賞。
演奏と執筆を両立させる希有な存在として注目を集めており、これまでリリースした9枚のCDが『レコード芸術』誌で特選盤となるほか、『翼のはえた指』 (白水Uブックス)で第9回吉田秀和賞、『青柳瑞穂の生涯』(平凡社ライブラリー)で第49回日本エッセイストクラブ賞、『6本指のゴルトベルク』で第25回講談社エッセイ賞、CD『ロマンティック・ドビュッシー』でミュージックペンクラブ音楽賞を受賞している。テレビ朝日『題名のない音楽会』、『ラ・フォルジュルネ音楽祭』などにも出演。近著に『どこまでがドビュッシー? 楽譜の向こう側』(岩波書店)、『青柳いづみこのMERDE!日記』(東京創元社)など。
日本ショパン協会理事。大阪音楽大学教授、神戸女学院大学講師。