山下清(1922-1971〔大正11-昭和46〕年)は放浪の天才画家として知られており、懐かしい日本の原風景や名所を貼絵で表し、多くの人々の心を捉えました。生誕100年を記念する本展では、代表的な貼絵の作品に加えて、子供時代の鉛筆画や後年の油彩、陶磁器、ペン画などを展示し、山下清の生涯と画業をご紹介します。日本各地を自由気ままに旅する生活を好んだ清は、驚異的な記憶力をもち、スケッチやメモを取らずとも、旅先で見た風景を細部まで正確に思い出すことができました。ときおり旅から戻ると、高い集中力を発揮して、手で細かくちぎった紙片を緻密に貼り合わせることで、超絶技巧的とも言える貼絵を制作しました。そこに見られる丁寧な細部描写と豊かな色調という魅力は、油彩やペン画、水彩画など他の作品にもよく表れています。このような多彩な作品約190点、そして旅に持参したリュックや浴衣、所蔵していた画集などの関連資料を間近に鑑賞することで、49歳で逝去するまで個性的な創作活動を続けた山下清の世界をご堪能いただければ幸いです。
特別出品:山下清が1964年オリンピック東京大会の開会式を描いた作品(《日本、しっかり》1964(昭和39)年頃、水彩画、東京都蔵)を東京会場のみで展示します。
みどころ
1.山下清の生誕100年を記念する大回顧展
昭和の時代に「日本のゴッホ」とも呼ばれた放浪の天才画家、山下清の画業と人生を振り返る大規模な展覧会です。
2.芸術家、山下清の真の姿に迫る
気ままな旅に持参したリュックや着ていた浴衣などの関連資料と併せて、緻密で繊細な表現、そして職人技といえる高い技術を示す貼絵など約190点の作品によって、その人物像と制作活動をご紹介します。
3.旅の風景を鋭い観察眼で捉えた山下清の世界
驚異的な記憶力と集中力を併せもつ清は、旅先で見た風景を細部まで正確に思い出し、手で細かくちぎった紙片を緻密に貼り合わせることで、超絶技巧的な貼絵を生み出しました。手の込んだ細部描写と豊かな色調を特徴とする山下清の世界をご堪能ください。
《ほたる》 1934(昭和9)年 貼絵 12×17.5cm 山下清作品管理事務所蔵 ※画像写真の無断転載を禁じます
《桜島》 1954(昭和29)年 貼絵 54×76.5cm 山下清作品管理事務所蔵 ※画像写真の無断転載を禁じます
《ぼけ》 1951(昭和26)年 油彩 58×44cm 山下清作品管理事務所蔵 ※画像写真の無断転載を禁じます
《東京オリンピック》 1964(昭和39)年 ペン画 38.5×30cm 山下清作品管理事務所蔵 ※画像写真の無断転載を禁じます
《パリのサクレクール寺院》 1962(昭和37)年 貼絵 45.5×53cm 山下清作品管理事務所蔵 ※画像写真の無断転載を禁じます
《スイスの町》 1963(昭和38)年 貼絵 46×53.5cm 山下清作品管理事務所蔵 ※画像写真の無断転載を禁じます
《長岡の花火》 1950(昭和25)年 貼絵 53×75cm 山下清作品管理事務所蔵 ※画像写真の無断転載を禁じます