古来、語り読み継がれてきた物語は、古くから絵巻物など絵画と深い関係にありました。和歌もまた、
三十一文字の世界が絵画化されたり、絵から受けた感興から歌が詠まれたりと、絵画との相互の刺激から
表現が高められてきました。
物語絵や歌絵の特徴のひとつは、繊細な描写と典雅な色彩。宮廷や社寺の一級の絵師が貴人の美意識に
寄り添い追求した「やまと絵」の様式を継承することでしょう。そして、ストーリーに流れる時間を表す
かのような巻物、特別な場面を抽出してドラマティックに描き出す屏風など、長大な画面にさまざまな
表現が生まれました。
古典文学は、後世の人々が自身に引き寄せて味わうことで、読み継がれ輝き続けてきました。それに
基づく絵画もまた同様です。本展では、近世の人々の気分を映し出す物語絵と歌絵を、館蔵の住友コレク
ションから選りすぐってご紹介します。
雅やかで華麗、時にちょっとユーモラスな世界をお楽しみください。
《源氏物語図屏風》 江戸 17世紀 ※画像写真の無断転載を禁じます
《伊勢物語図屏風》 宗達派 桃山〜江戸 17世紀 ※画像写真の無断転載を禁じます
《平家物語・大原御幸図屏風》 桃山 16世紀 ※画像写真の無断転載を禁じます
《竹取物語絵巻》 江戸 17世紀 ※画像写真の無断転載を禁じます
《三十六歌仙書画帖》 伊勢 松花堂昭乗 江戸 元和2年(1616) ※画像写真の無断転載を禁じます
《三十六歌仙書画帖》 柿本人麻呂 松花堂昭乗 江戸 元和2年(1616) ※画像写真の無断転載を禁じます