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ルイ=マリー・ランテ『上流階級と中産階級』より 出版年不明 ©Nao Kashima(NOEMA Inc.)All Rights Reserved |
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シャルル・マルタン『モード・エ・マニエール・ドージュルデュイ』より 1913年 ©Nao Kashima(NOEMA Inc.)All Rights Reserved |
鹿島茂氏は、執筆活動のみならず膨大な古書コレクションを所有するコレクターとしても知られています。練馬区立美術館では、その愛蔵コレクションを連続して紹介する展覧会を開催。第1回目は19世紀フランスを代表する挿絵画家J.J.グランヴィルを取り上げ、第2回目は、共にフランス、ナント出身のアール・デコを代表するアーティスト、ジョルジュ・バルビエとジャン=エミール・ラブルールを紹介しました。
第3回にあたる本展では、19世紀から20世紀初頭のアール・デコの時代までに描かれたファッション・プレート(ファッションイラストの版画)を紹介し、それぞれの時代の流行のファッションから、華やかな女性の装いを展覧します。また、モード以外の仕事から、フランス史に名を遺した高貴な身分の女性たちの装いや地方の伝統的衣裳、様々な階級、職業別の装いなどの風俗描写、文学作品の豊かな世界観を再現したエレガントな挿絵を通して、フランス近代の熟達したイラストレーションの世界を披露します。
【展覧会の見どころ】
19世紀のイラストレーションからは、オーラス・ヴェルネ(Horace Vernet, 1789-1863)、ルイ=マリー・ランテ(Louis-Marie Lanté,1789−?)、ガヴァルニ[本名:ギヨーム=シュルピス・シュヴァリエ](Gavarni /Sulpice-Guillaume Chevalier,1804-66)らが手掛けた、『ジュルナル・デ・ダム・エ・デ・モード』(1797‐1837)や『ラ・モード』(1829‐1854)など、ファッション誌の先駆けともいえる服飾雑誌を中心に紹介します。
20世紀初頭ではバルビエと同じく、アール・デコの時代に活躍したシャルル・マルタン(Charles Martin,1848−1934)、アンドレ・マルティ(André Marty, 1882−1974)、ジョルジュ・ルパップ(Georges Lepape,1887−1971)によるファッション・プレートや文学作品への挿絵などを通して、モダンなイラストレーションを展覧します。
併せて、京都服飾文化研究財団の貴重なコレクションより、同時代を代表する華麗な衣裳を展示、描かれた衣裳と実際の衣裳を見比べることで、より立体的に当時のパリの装いを楽しむと同時に、モダン・パリの雰囲気をお楽しみください。