平塚市美術館にて2015年4月25日(土)から6月7日(日)まで企画展「京都市美術館名品展 美人画の100年」、2015年4月18日(土)から6月14日(日)まで特集展「川口起美雄―絵画の錬金術師」開催されます。
■<企画展>京都市美術館名品展 美人画の100年
平塚市美術館では、京都市美術館の名品の中から、明治、大正、昭和にかけて描かれた女性像に着目して、京都画壇の日本画にみられる女性表現の変遷を概観する展覧会を開催します。
女性像は、古代から現代まで描き続けられてきたテーマのひとつです。やまと絵や浮世絵の伝統を受け継ぎ、普遍的な女性の美しさを描き出すことが一般的であった女性像は、明治時代以降、美術の中心的なテーマとして大きく花開くとともに変動する社会の中で多様化していきます。
深い伝統に根ざした京都画壇でも、明治時代後半に顕著になる国家主義や家父長制度への反発、社会的弱者に対する共鳴や女性の自立を目指す動きなどを反映して、その生の姿が描き出されるようになるとともに、女性の内面をえぐるような表現がなされました。また、大正後半から昭和初期にかけては、時代を象徴するモダンガールがモチーフとして選ばれ、和洋渾然とした装いやモダンな調度品に囲まれた女性の豊かな生活が描写されています。一方、当時の日本の植民地政策を反映して異国情緒あふれる女性像も生み出されました。女性の描写は、とりもなおさず時代を表徴するものであったと言えるでしょう。
本展では、明治、大正、昭和にかけて、社会のめまぐるしい変化に鋭く反応する女性の姿を捉えて描き出した作品62点をご紹介します。
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菊池契月《散策》1934年 |
■<特集展> 川口起美雄 ―絵画の錬金術師
平塚市美術館では、油彩画家・川口起美雄の初期作品から最新作まで約90点により、その画業を振り返ります。
川口起美雄は、1951年長崎に生まれ、現在、大磯町に在住し、武蔵野美術大学教授をつとめています。1974年から77年にかけてオーストリア国立応用美術大学に在籍、ヴォルフガング・フッターに師事し、北方ルネサンスの混合技法を学びました。帰国後、個展を中心に活動し、1985年文化庁在外研修員としてイタリアに留学、ウフィッツィ美術館にて研修。1987年、第30回安井賞展佳作賞を受賞。2002年には池田20世紀美術館で回顧展を開催しました。
川口作品の特徴は、古典技法と幻想的な画面にあります。その透き通った画面は、ブリューゲルやボッシュなど15世紀のオールドマスターに学んだ、テンペラと油彩の混合による古典技法の徹底した追究に裏打ちされています。また、調和の取れた構図には、宙に浮かぶ船や隕石、水面に見立てられた芝生などが描かれ、時間の流れや現実の空間を転倒させた幻視の風景が広がっています。
展示では、10cm×10cm 程度の小品「ミニアチュール」を含め、川口作品の全貌を紹介します。フッターらの影響を受けた幻想的表現と、日本ではめずらしい古典技法を自在に操った独自の具象表現をご覧ください。
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川口起美雄《雪の朝》東京オペラシティ アートギャラリー蔵 |
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川口起美雄《木星儀のある部屋》2010年 |