ショパンとラフマニノフの作品は、浦山氏の代名詞ともいえるもの。ショパンとは、ポーランド国立
ワルシャワショパン音楽院にて長く学び、ラジヴィーウ国際ピアノコンクール(ポーランド)では
優勝及び最優秀ショパン賞を受賞したほか、その作品群が浦山氏の演奏家人生に変わることなく
寄り添い、励みになってきたという深い関係を持ちます。
一方ラフマニノフとは、彼の大親友でピアニストのゴリデンヴェィゼル(ラフマニノフは彼に「2台の
ピアノのための組曲 第2番 Op.17」を献呈、共にリスト直系ジロティに学ぶ)の孫弟子として、ロシア
ピアニズムに大きな影響を受けて研鑽を積んできた経緯があります。
どちらの作曲家も、そのロマンティックで情熱的な作品が浦山氏の豊かな感受性や幅広い表現力と
結びついて、氏の演奏活動において常に重要なレパートリーであり続けています。
実は結びつけて語られることの少ないその2人の作曲家を「望郷の思い」というキーワードから焦点を
当て、その人生を追うかたちで構成するのが今回のリサイタルシリーズ。
どちらの作曲家も若くして才能を開花させ、故郷を出て異国の地で創作に励みますが、のちに戦争や
病いに阻まれ、望郷の思いを強く持ちながらも叶わず、その郷愁を作品に書き残してこの世を去って
いきました。
浦山氏自身も若くして留学し長く海外で生活してきただけでなく、東日本大震災によって、生まれ故郷の
福島県郡山市また育った地である宮城県仙台市の変わり果てた景色を目の当たりにした経験から、
特に「郷愁」という感情に強い共感を持つ浦山氏。
その思いをキーワードに据え、自身のピアニスト人生のひとつの包括とすべく、本シリーズを企画しました。
シリーズは青年期の〈飛翔〉、壮年期の〈憧憬〉、円熟期の〈豊穣〉、晩年の〈郷愁〉と、全4回にわたって
2人の作曲家の人生を追いかけます。
第1回は青年期の作品に焦点を当て、NHK交響楽団のメンバーによる弦楽四重奏を共演に迎えて
ショパン:ピアノ協奏曲第1番他を熱演、各方面から高評を得ました。
第2回は2人の作曲家の壮年期の名作をプログラミング。浦山氏と同じく前述ゴリテンヴェイゼルの孫弟子に
あたる気鋭のピアニスト、ステファン・チリッチ氏をゲストに迎え、ラフマニノフがゴリデンヴェイゼルに
献呈した「2台のピアノによる組曲 第2番Op.17」をメインに圧巻の2台ピアノ演奏を披露、絶賛されました。
そして第3回の今回は、全4回のシリーズの中で唯一のソロ・リサイタル。浦山氏が渾身の力を込め、
満を持して臨みます。
プログラムは、ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調「葬送」 Op.35、
そしてこの作品から強い影響を受けて作曲されたラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調
Op.36など、2人の作曲家の円熟期の名作からお届けします。
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