日本芸術院会員の洋画家、中山忠彦画伯はヨーロッパのアンティークドレスをまとった夫人を描き、華麗な中に気高い精神性が感じられる理想の女性像を追求してきました。
このたび、日展初入選作品から最新作品まで代表作品約70点を展示し、画伯の50余年にわたる画業をたどります。
中山画伯は1935年に福岡県小倉市(現・北九州市)で生まれ、9歳の時に両親の出身地、大分県中津市に疎開。県立中津西高校(現・中津南高校)在学中、15歳で県展に初入選し、「田能村竹田を偲ぶ美術展」では県知事賞を受賞します。日展巡回会場で伊藤清永画伯の作品に感銘を受け、53年い高校卒業後、上京して伊藤清永絵画研究所に入門して内弟子として4年間指導を受けます。
54年に19歳で第10回日展に「窓辺」が初入選。58年、白日展に「群像」を出品し、会員に推挙されます。65年に良江婦人と結婚してからは、妻をモデルにした現在につながるテーマを確立しました。80年に白日展で「妝う(よそほう)」が内閣総理大臣賞受賞、87年に日展会員になり、96年に日展で「華族」で内閣総理大臣賞受賞。
98年「黒扇」で日本芸術院賞を受賞し、同年に日本芸術院会員になりました。現在、日展常務理事・事務局長、白日会会長として、後進の指導にあたりながら、独自の画風を追求しています。
○中山忠彦画伯の略歴