92歳の絵本作家ターシャ・テューダーは、アメリカ・バーモント州の片田舎にある18世紀頃の農家のような家に住み、自然の恵みの中で、動物たちに囲まれ、ガーデニングを楽しみながら創作活動を続けています。本展では「大自然の中で、創作活動をしながら手作りの生活をすること」を夢見て、それを実現させてきたターシャの生き方と、その豊かなライフスタイルの魅力を紹介いたします。
ターシャの絵本は、美しい自然と日常生活を描き、生きる喜びに満ちた作品として知られ、1938年の処女作「パンプキン・ムーンシャイン」以来、約60年間に80冊以上が出版され、幅広い層から支持されてきました。絵本を描きながらシンプルな生活を実践し、4人の子供を育てあげたターシャは子供達の独立後、56歳の時にそれまで暮らしていたニューハンプシャー州からバーモント州へ移り住み、今も一人暮らしを続けています。
そこに作られた30万坪におよぶターシャの庭。石垣の組まれたテラス、ハーブガーデン、野菜畑や放牧場、池や森、ワイルドフラワーガーデンなど、ターシャは長い月日をかけてこの庭を作り上あげ、日々世話をすることに情熱を燃やしてきました。この広大な敷地の中で牛を飼ってバターやチーズを作り、羊毛から糸を紡ぎ、機でぬのを織って洋服を仕立てたり、蜜蝋で蝋燭を作るなど、日常生活に必要なもののほとんどを手作りすること自体を楽しみ、クリスマスやイースターをはじめ、犬たちのバースデーパーティーなど、日々の暮らしに様々な楽しみを盛り込むことに喜びを見出しているのです。
NHKの特別番組で紹介されるや、大きな反響を呼びました。さらに彼女の生活を紹介した写真集や、彼女の言葉を集めた書籍もベストセラーになっています。それはターシャ・テューダーのライフスタイルが、多くの人々にとって「豊かな生き方」を示してくれる憧れの対象であるからにほかなりません。
○ターシャ・テューダー(Tasha Tudor)プロフィール