ドビュッシーの神秘
交響詩『海』のほんのひとしずくでできたような『スケッチブックから』、当初『前奏曲集第2巻』に収録される予定だったが実現しなかったキプリングの物語を、イギリスの音楽学者ロバート・オーリッジが2006年に作品化した『象たちのトーマイ』、幽玄な「霧」、非現実の空間に漂う「枯葉」など、ブーレーズによって、20世紀音楽の扉を開いたと評価された『前奏曲集第2巻』、直腸癌に苦しむ中で書かれた、ショパン最後のマズルカを思わせる虚無感に満ちた『エレジー』など全21曲を収録。
本心をめったに明かさず、友人に「自己の内部で強烈な人生を生きた」と評されたドビュッシーのなかに潜む神秘に青柳いづみこが迫る。
クロード・ドビュッシー=ロバート・オーリッジ(1913/2006)
1. 象たちのトーマイ
クロード・ドビュッシー前奏曲集 第2巻(1911-13)
2. 霧 3. 枯葉 4. ヴィーノの門 5. 妖精たちはあでやかな踊り手 6. ヒースの茂る荒地 7. 風変わりなラヴィーヌ将軍 8. 月の光がふりそそぐテラス 9. オンディーヌ(水の精) 10. S.ピックウィック卿をたたえて 11. カノープ(エジプトの壺) 12. 交替する3度 13. 花火 14. ハイドンをたたえて(1909) 15. スケッチブックから(1904) 16. 仮面(1903-04) 17. レントよりなお遅く(1910) 18. 石炭の明かりに照らされた夕べ(1917) 19. 英雄たちの子守歌(1914) 20. 「負傷者の衣服」のための作品(1915) 21. エレジー(1915)