貴千

昭和38年創業以来、創業者小松中司の教えをかたくなに守り、

社長のコメント
昭和38年の創業以来、創業者小松中司の教えをかたくなに守り、ふるさといわきの海に育まれながら、貴千はかまぼこの可能性を追い求めてきました。
創業者のこだわり。それは「摺る」ということ。
いかにして、魚の身の力を最大限に引き出すのか。摺ることへのこだわりが、貴千のものづくりを支えてきました。
かまぼこづくりを通して私たちが改めて気づいたことは、かけがえのない「ふるさと」の存在でした。おいしく、安心安全に食べられるだけでなく、かまぼこの中に、地域の歴史や風土、文化をも摺り込んでいきたい。
かまぼこをつくるということは、ふるさとのよさを引き出し、ふるさとを摺るということ。
父祖伝来の技術にさらに磨きをかけ、進取の気性を取り入れながら、いわきの歴史、風土、文化、そして人と真っ正面から向き合い、
私たち貴千は、ふるさとをおいしく摺っていきます。
ふるさとスル。私たちが摺り上げたいわきの味を、ぜひご賞味ください。

うまさを決める「解凍術」
「うまいかまぼこをつくるには、解凍が命」。それが、創業者・小松中司の教えです。
かまぼこの原料となるタラの多くは、漁獲されるとすぐ船上で加工・冷凍されますが、天候や気温、湿度次第で解け具合が変わり、 味が落ちてしまうこともあります。
貴千では、解凍室を使わず、あえて常温で解凍。職人たちがすり身の温度、解凍時間、置き方に至るまで徹底的に管理し、身の力を最大限に引き出せる状態を作り出してから製造します。先祖伝来の「解凍術」。それが、かまぼこ本来の味と食感を引き出しているのです。

人の手で丁寧に「摺る」
解凍され、眠りから目を覚ましたすり身は、まるで赤ちゃんのように繊細です。その繊細さは、ちょっとした温度や湿度の変化によって、身の状態が刻一刻と変わってしまうほど。
また、扱いが雑だと身が粗くなり、身の力を最大限に引き出すことができません。だからこそ、すべてを機械任せにせず、手の感覚で常に身の状態を確かめながら、丁寧に摺ることを心がけています。
塩分を含むすり身に常に触れているため、膨れて太くなった職人たちの無骨な手。それこそ、貴千のこだわりを表す何よりの証です。

かまぼこの食感を追い求める「坐り」
かまぼこの多くは、成型、蒸しを経て完成しますが、貴千では、蒸す前に「坐り(すわり)」という低温熟成の工程を入れています。低温でじっくり寝かすことでたんぱく質が深く熟成され、噛んだときに歯を跳ね返すような、あのぷりぷりの食感が生まれるのです。
「坐り」の語源は、赤子の首が「すわる」こと。坐りは、少年へ育つためのエネルギーを蓄える大切な時間です。貴千では、時間をかけて赤子を少年へと育てあげ、蒸しや包装などを経て青年となったかまぼこを、皆さまのもとへと送り出しています。

すり身は生きている
熟練の職人が同じように解凍し、同じように摺ったとしても、まったく同じものはつくることができません。なぜなら、すり身は生きているからです。刻一刻と変わる身の状態を、長年の経験や勘によって感じ取り、魚が持っている力を最大限に引き出すと同時に、ブレのない商品を作る。
それが貴千のものづくりの真髄であり、かまぼこの職人の技なのです。貴千はこれからも、いわき小名浜の海とともに、職人の技にさらに磨きをかけ、かまぼこを精魂こめて育てていきます。