選びに選び抜かれた鰹節
思わず舌鼓「口どけ」で使用している原料は、本枯れ節血合抜き(ほんかれぶしちあいぬき)という原料です。この原料は、鰹節にカビを付けた原料で、鰹節の最高級品と言われています。この原料を選ぶに当たり、原料節の表面のカビが薄茶色ものを選ぶようにしています。原料節の表面のカビは、カビ付け作業を表す履歴書なのです。
鰹が鰹節になり、荒本節と呼ばれる節になると本枯れ節用として選別され、カビ付け作業を行います。通常カビ付けを行う倉庫は、室温が35℃から38℃ 湿度は、95%から98%の“カビ付け庫”と呼ばれる場所に置かれます。この場所でゆっくりと原料節の表面にカビを発生させるのです。カビ付け後は、青緑のカビが表面に発生するのですが、その後、天気の良い日に室外へ出し、日光にあてる事で青緑のカビは少しずつ色を変えていきます。カビが発生して行く上で必要なのは水分なのですが、鰹節表面のカビは鰹節内の水分を上手に吸い取っていきますので、鰹節の身は密度を増していきます。しかし、直ぐに薄茶色のカビになるのではなく、このカビ付け庫と天日干しを2〜3回繰り返し、カビの色は薄茶色へと変化していくのです。この間、カビ付けを開始して3カ月を経過しています。
鰹節職人がこの工程を丁寧に作業する事で、カビはきめ細やかな薄茶色に変化をするのです。ですので、本枯れ節は鰹本来の旨みと香りが強い、最高級品の原料節と呼ばれるのです。しかし、思わず舌鼓で使用されるにはもう一手間必要となります。鰹には血合いと呼ばれる鉄分を多く含んだ赤黒い身の部分があります。
この部分は、口に含むと苦みを感じてしまう場合がありますので、思わず舌鼓で使用する本枯れ節は、この血合部分(鰹節の25%以上)をすべて除去します。本枯れ節の身は少なくなってしまいますが、このこだわりが鰹節本来のおいしさを感じて頂けるものと考えています。