花岡さんの工房は修善寺の小高い丘に静かに佇んでいます。
四季それぞれに豊かな表情を見せてくれる伊豆の自然が花岡さんの器にさまざまなヒントを
与えてくれているようです。粉引、刷毛目、黒陶、灰釉と花岡さんが得意とする技法はみな
シンプルで、料理が入ったときに最大の効果が発揮されるよう巧みに計算されています。
装飾を加えていく「足し算」の器ではなく、余分なものを捨て去った「引き算」の器です。
ただし、引きすぎてただただ無口になった器ではなく、引いたあとに残るサムシングが絶妙の
隠し味になっています。主張しすぎないけれど、そこには確かな主張があります。